平成28年度診療報酬改定 基本指針

基本方針(中医協協議会資料より)

1. 改定にあたっての基本認識

超高齢社会における医療政策の基本方向

  • 団塊の世代が75歳以上となる平成37年(2025年)に向けた安全・安心、質の高い効率的な医療の提供
  • 疾病構造の変化に伴い「治す医療」から「治し、支える医療」、予防医学
  • 人口減少に伴う医療保険制度の持続可能性の確保

地域包括ケアシステムと効果的・効率的で質の高い医療提供体制の構築

  • 医療機能の分化・強化、連携や医療・介護の一体的な基盤整備
  • そのための質の高い人材の確保、医療従事者の負担軽減

経済成長や財政健全化との調和

  • 経済・財政との調和
  • 無駄の排除や医療資源の効率的な配分、医療分野におけるイノベーションの評価等を通じた経済成長への貢献

2. 改定の基本的視点と具体的方向性

1. 【重点課題】地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携に関する視点

(基本的視点)

  • 必要に応じた質の高い医療・介護サービスへのニーズ
  • そのためへの機能分化・基盤整備を含めた地域包括ケアシステムの構築

(具体的方向性の例)

  • 入院医療の評価
  • チーム医療の推進、勤務環境の改善、業務効率化の取組等を通じた医療従事者の負担軽減・人材確保
  • 地域包括ケアシステム推進のための取組の強化
    • 患者の状態に応じた診療が行われるよう、かかりつけ医の機能を評価
    • 同様に、適切な服薬管理が行われるよう、かかりつけ薬剤師・薬局の機能を評価
    • 多職種連携の強化(医師、歯科医師、薬剤師、看護師等)
    • 患者の早期退院、住み慣れた地域での療養・生活が継続できるための取組を推進
  • 質の高い在宅医療・訪問看護の確保
    • 患者の状態を考慮した効率的・効果的で質の高い在宅医療・訪問看護の提供体制
  • 医療保険制度改革法も踏まえた外来医療の機能分化
    • 医療制度改革法
    • 大病院・中小病院・診療所の機能分化
    • 外来医療の機能分化・連携の推進

2. 患者にとって安心・安全で納得できる効果的・効率的で質が高い医療を実現する視点

(基本的視点)

  • 患者自身による主体的な医療の選択
  • 「生活の質」を高める「治し、支える医療」の実現

(具体的方向性の例)

  • かかりつけ医の評価、かかりつけ歯科医の評価、かかりつけ薬剤師・薬局の評価
  • 情報通信技術(ICT)を活用した医療連携や医療に関するデータの収集・利活用の推進
  • 質の高いリハビリテーションの評価等、患者の早期の機能回復の推進

3. 重点的な対応が求められる医療分野を充実する視点

(基本的視点)

  • がん、心疾患、肺炎、脳卒中に加え増加が見込まれる認知症、救急医療への重点的な対応

(具体的方向性の例)

  • 緩和ケアを含む質の高いがん医療の評価
  • 認知症患者への適切な医療の評価
  • 地域移行・地域生活支援の充実を含めた質の高い精神医療の評価
  • 難病法の施行を踏まえた難病患者への適切な医療の評価
  • 小児医療、周産期医療の充実、高齢者の増加を踏まえた救急医療の充実
  • 口腔疾患の重症化予防・口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療の推進
  • かかりつけ薬剤師・薬局による薬学管理や在宅医療等への貢献度による評価・適正化
  • 医薬品、医療機器、検査等におけるイノベーションや医療技術の適切な評価

4. 効率化・適正化を通じて制度の持続可能性を高める視点

(基本的視点)

  • 医療費増大に対していかに国民皆保険の維持するか
  • 医療サービスの維持・向上、医療費の効率化・適正化

(具体的方向性の例)

  • 後発医薬品の使用促進・価格適正化、長期収載品の評価の仕組みの検討
    • 価格算定ルールの見直し
    • 長期収載品の価格引下げルールの見直し
  • 退院支援等の取込による在宅復帰の推進
  • 残薬や重複投薬、不適切な多剤投薬・長期投薬を減らすための取組など医薬品の適正使用の推進
  • 患者本位の医薬分業を実現するための調剤報酬の見直し
  • 重症化予防の取組の推進
    • 疾患の進展の阻止や合併症の予防、早期治療の取組を推進
  • 医薬品、医療機器、検査等の適正な評価

改定率

ネット改定率(全体) ▲0.84%

診療報酬本体 +0.49%

  • 医科 +0.56%
  • 歯科 +0.61%
  • 調剤 +0.17%

薬価等

  • 薬価 ▲1.22%
  • 材料価格 ▲0.11%